メンバーに話を聞いてみよう
(プロダクトマネージャー 田中さん)
こんにちは!部長の山岡まどかです。顧客をハッピーにするにはまずは自分たちのハッピーから、ということで、いきいきと夢中になって働ける組織を目指し日々奮闘しています。
今回お話を聞くのは、2018年入社の田中さん。発行額年間3,200億に達する楽天ポイント、そんなポイントのある毎日を楽しむためのアプリ『楽天PointClub』の他、複数のプロダクトマネージャーを担う八面六臂の活躍ぶりです。これまでの事業会社で培ったプロダクトマネジメント法を「良い意味でくつがえされた」とおどろく楽天エコシステムの面白さや、プロダクトマネージャーの未来像について聞きました。


入社前は意味不明に感じた楽天のUX
田中さんは、これまでソニーでSE、リクルートで人材系サービスのプロダクトマネージャー、そしてUXコンサルを経て2018年に入社されました。今のお仕事を教えてください。
『楽天PointClub』というサービスを中心に、ポイントにまつわる体験を向上させていくためのプロダクトマネジメントをやっています。ポイントの戦略やお客様のインサイトをもとに、楽天エコシステムの中でポイントを貯めたり使ったりというときの機能の企画や、要件定義をして開発部門と連携していくといったことです。(と言いながら、愛用のiPad ProでFigmaのアウトプットをさらさら見せてくれる田中さん)


…前から思ってたんですけど、田中さんって意識高いを通り越して(?)、めちゃめちゃマメですよね。企画会議のときの資料やフォルダも整理整頓されているし、メモも細やか。
もともと好きなんです。小さいころはずっとLEGOをいじってましたし、書類をつくるのも好きで、高校の文化祭実行委員のときは過去の実施要項を全部スクラップしてボランティア1人1人にまで配ったりもしてました。
iPadから、いつも持ち歩いている青い瓶の海外産ミネラルウォーターまで、スマートでシンプルなモノ、好きですよね。そういうこだわりとか志向は、仕事でのプロダクトづくりにも影響していますか?
そうですね。前職のリクルートでも、お客様の不便や不満、いわゆる「不」をとらえて課題解決していく、という方針だったので、合理的で、お客様の手を煩わせないサービスが求められていましたし。僕自身も、あらゆるプロダクトは無色透明化し、存在もわからないようになっていくと思っていました。ただ、楽天って違うじゃないですか。最初入ったときは、理屈もわからないし腑に落ちなかったんですよ。なんでこんなUXの理念に一見反することをやっているんだろうと。
外から見たときに言われがちなことですね。


たとえば彼女が家で楽天ポイントのくじを引いて「当たった!」と喜んでいる。1ポイントということもありますし、最初は何がうれしいのかさっぱりだったんです。でも「楽天PointClubのポイント実績欄で、くじで当たったこの1ポイントだけデザインが違うの」とか、そういう些細なところでいちいち気持ちが高まっていたりうれしさを増殖させていたりするんですよね。そんな日常のシーンをいろいろ見るうちに、徐々に共感して僕にも感覚が芽生えてきました。楽天市場のいわゆる「ロングページ」と呼ばれる商品ページもそう。共感しない人は一定数いるかもしれないですが、それよりもっと多くの人が、想像していなかったものを見つける楽しさを感じている。
おお、すごい認識の変化。
入社初期に楽天市場事業との共同プロジェクトをやらせていただいたのが大きかったですね。楽天エコシステムの強さ、つまり粘着性があり、噛めば噛むほど美味しくてまた食べてしまうといったすごさを実感できた気がします。
ポイントって本当に合理性だけではないもの。1ポイント=1円と思われがちですが、値引きとポイント倍率アップでは、実質価格が同じでもポイントの方が3倍買われるということもわかっています。ポイントの持つイリュージョン性のひとつですね。
課題解決よりも喜びを増やす
プロダクトマネジメント法


田中さんは以前から事業会社でプロダクトマネージャーをやられていたわけですが、顧客戦略部におけるプロダクトの進め方にはどのような違いを感じますか?
以前は人材サービスなど、単体のプロダクトに携わっていたので、「クライアント送客数」などKPIやゴールが明確でした。でも、顧客戦略部は楽天エコシステムという多様なサービスの複合体や、そのコアアセットであるポイントを扱っているので、このKPIだけ上げれば良いという単純さがない。 守備範囲の広さと企画観点の多様性は、これまでと比べてぐっと難易度が高いなと日々感じています。
KPIもやりながら進化していきますしね。あとはいわゆる「売上」のようなわかりやすい量的指標と、「カスタマーがポイントに対してもつ感情」など質的な指標を両立させ、同じように追求しているのもユニークなところではないでしょうか。


捉えづらい、けれど大事なものを数値化して見えるようにする分析力や、それをKPIにしてしっかり追い、もっと体験を良くしていこうとしていく姿勢、すごいですよね。
プロダクトを作る側は大変でしょうけど。
そうですね。たとえば企画ひとつとっても、「自分の情報が正確に確認できる」といったベースの検討だけでなく、「パチンコのようにドーパミンが出る」という体験設計をすることもあるじゃないですか(笑)。楽しさや喜びや幸せを増やす、というのは、課題解決をして痛みや「不」を軽減させていくような従来のプロダクトマネジメントとはまったく違う脳を使っていると感じます。まだまだチャレンジの途中で、10%くらいしかできていないんじゃないかと…。


プロダクトマネジメント業界の潮流も徐々に変わってきているように感じますか?
うーん、課題解決型のアプローチは、ソリューション化も進んできて差別化できなくなってきていますよね。それよりも、ファンとのエンゲージメントやコミュニティ的なものがより重視されはじめているんじゃないかと思います。僕が好きな、米国のスタートアップがやっているノートアプリがあるのですが、プロダクト運営側が、未来に創る予定の機能などをTwitterにめちゃめちゃ流すんですよ。プロダクトオーナーだけじゃなくて、ファンのコミュニティと案を形成していく。つまり、もはや良いシステム、良い見た目を作って終わりではなく、思想を共有し、ファンも含めてエコシステム的にみんなハッピーになる世界をどう作っていくかという時代なんだろうと思っています。でもそれって、楽天、顧客戦略部でいうと『お買いものパンダ』が先行していますよね。
確かに、私もプロデューサーとしてTwitterで直接発信しますし、ファンとのオフ会やイベントで触れ合う中でいろいろな意見に耳を傾けて運営方針に反映しています。
『お買いものパンダ』のようなエモーショナルなものを同じ部署でやっているというのは学びも大きい。企業とファンとの間にプロダクトがある、コミュニティごとプロダクトをマネージしていく、そういうことが今後のプロダクトマネージャーには求められるんじゃないかなと思っています。
プロダクトマネージャーの本質はつなぐこと


お話を聞いていると、プロダクトマネージャーにとても想いが強いように感じますが、もともとそういう志向があったのでしょうか?
親の仕事の関係上、家に電動ろくろや窯があるような環境だったので、子供のころからモノづくりに興味はありました。ただ、大学生のころにITが出てきて、その参入障壁の低さと影響の無限性、そこにある平等とか自由とか夢といった理念に感銘を受けました。僕は文系なのですが、大学が理系・文系・クリエイティブ系の混合チームでプロジェクトを推進する教育に力を入れていて、その活動の中でITによる体験の進化にハマっていきました。
顧客戦略部は、ビジネス職・UX職・マーケティング職の「三位一体」で仕事を進めることを基本にしていますが、それを大学時代から実践されていたわけですね。


言われてみるとそうかもしれません。中でも自分の価値や立ち位置を意識したのは、世界最大の学生向けITコンテストや、その前哨戦としての日本の大会などに出場したときです。僕以外のチームメンバーは自然言語処理の研究をやっているようなガチ理系の大学院生たちで、新しいテクノロジーを使った表現の追求は得意なのですが、僕はそれだけだと勝てないんじゃないかな?と思っていました。ユーザーにとっての価値をあまり感じないからです。テクノロジー自体は昔からあるものだとしても、もっと面白い体験が作れるのではないか。テクノロジーと価値の橋渡し役になるのが自分だ、と気づいたんですよね。ちなみに日本の大会で準優勝したアイディアは「人のイライラを可視化する青いボタン」なんですけど(笑)。
なにそれ気になる・・・!
それ以来、プロダクトマネージャーは橋渡しをしてつなげる仕事なんじゃないかなと思っています。テクノロジーと価値のみならず、エンジニアとデザイナーとビジネス職、企業とカスタマーなど。そのためにはいろんな視点で物事を見て、理解力や共感力を上げていくのが重要と感じています。


しっかりしてますねー。頼もしい。
でも今日は良いことばっかり言っていますが、ぶっちゃけ、僕は浪人時代にとても苦労をしたんですよ…。そのときに、世の中のつながりから絶たれた、社会に求められていない自分というのを痛感しました。なので、根本的にはどこかで自己肯定感とか、立ち位置をずっと探していたんじゃないかなと思います。たとえばデザイン力とかコーディングスキルとか、どれかひとつだけ取ると抜きん出ているわけではない。だけど、組み合わせると他の人にはない価値が生まれるのではないかと。これまでの仕事でも、人材紹介や通信など、それぞれの業界で専門家がいる中で、「IT×UX」という強みで価値を出せてきたように思います。今後も、つなぐ力を最大限生かしながら、良いプロダクト、良い体験を生み出していきたいです。
新機能のリリースの際にはニコちゃんマークのどら焼きを関係者全員に配り歩くなど、だいぶ可愛らしいところもあるギャップが魅力の田中さん。そんな田中さんとプロダクトマネジメント論を語り合いたい!一緒に働きたい!!という方は、ぜひ下記のリンクからご応募ください。

