ポイントの不思議その1
-円を超える魅力
顧客戦略部のChiyoです。今日もマーケティングの宇宙の中で、お客様にポイントの新しい楽しさをお届けできるよう「ポイント超新星」の探索をつづけています。前回まで、ポイントのとてもマクロなテーマを話しましたので、今回からは、より具体的に、ポイントの不思議についてご紹介していきます。
もしも、ポイントと円が競争したら
第1回で、日々お客様からフィードバックをいただく高速実験を繰り返していることをお伝えしましたが、そこから1つの実験結果をご紹介します。楽天市場には、同じお得な商品でも、がっつり値引きをしている商品もあれば、がっつりポイントがもらえる商品もあります。おなじみの「楽天スーパーSALE」を思い出していただきたいのですが、たくさんの「半額」商品が楽しめる一方で、ポイント10倍、20倍など、高倍率でポイントがもらえる商品も楽しむことができます。
このお得な円と、お得なポイントが混ざった世界において、全く同じ商品が
B: 10%引き
それぞれの条件で売られました。さて、どちらがよく売れたでしょう。
- ※ 細かい数字にこだわる方のための補足
ポイント10倍=9.09%引きでないと経済的なお得さは厳密に一致しませんが、ポイントが若干不利な条件であるというのが気にならないぐらいの分かりやすい結果となりました
ポイント強し。円の3倍以上、ポイントが選ばれる結果となりました。
円とポイント、
それぞれの得意と苦手を考える
この結果を読み解くために、ポイントが得意なことと苦手なこと、円が得意なことと苦手なことをざっと書き出していってみましょう。
大きなところから洗い出していくと、大体このような感じになるのではないでしょうか。機能性/万能性の円。情緒性/エンタメ性のポイントというところですね。どちらも経済的な価値を有するものですが、この大きな違いによって、全く別の通貨になっているようです。
ではなぜ、それぞれの得意と苦手を持った円とポイントが並んだときに、人の手が「ポイント」に伸びるのでしょうか。第1回でご紹介した日本人のお買い物観、覚えていらっしゃいますか?日本人は、世界で一番お買い物を楽しむ国民です。そして、日本人の趣味の上位には、「お買い物」がランクインします。多くの日本人にとって、お買い物とエンターテイメントは切っても切れない仲にあるのです。
仕事柄、人にお会いすると「最近買ったものを教えてください」とつい質問してしまうのですが、答えてくださる皆さまに共通するのが、とにかく楽しそうに語ってくださること。買うという決心をする前の苦悩の話から、決済をするまでの最後の迷い、いざ商品を手にしてからの暮らしと、、、、こだわりを持って買ったものの回りには、ストーリーがあふれています。お話の中で、いくらで買えたか、いくら得したかといった経済的な話をしてくださる人もいますが、それは、買う決心をした言い訳であったり、いいお買い物をしたという気持ちを強くしてくれたということであり、楽しいお買物ストーリーの中の、あくまでもサブストーリーにすぎないことが多いです。
お買い物を楽しめる日本人は、お買い物の周りにあるストーリーを楽しむことが上手です。そこで、エンターテイメント性を兼ね備えたポイントは、楽しいお買い物との相性がよく、一連のストーリーに組み込まれやすいのではないのでしょうか。
ポイントは、
人の根源的な欲求に応えている
さてさて、いろいろと考察してみましたが、私が考えているポイントの価値のより大きな仮説は、
ポイントは、経済的価値では満たせない、人間のより根源的な欲求を満たしている
です。今回は、最後にこちらのグラフをご覧ください。前回もご紹介した、「ポイントが好きな人は、幸福度が高い」のつづきです。インターネットでお買い物をするときに、価格(=円)を重視する人と、ポイントを重視する人の、生活全般の幸福度の違いです。
大きな差をつけて、ポイントが好きな人の幸福度が高くなっています。10%引きを大切にしてお買い物をしても、10倍のポイントがもらえることを大切にしてお買い物をしても、経済的な成果としては、大きな差がありません。一方で、生活全般の幸福度には、ここまでの差がつきました。経済性だけでは満たせない大きな欲求があり、ポイントがその大きな欲求を満たしていることが考えられます。ポイントは、お買い物を楽しく彩るだけでなく、生活全般を楽しく彩るほどのエンターテインメント性を備えているのです。
次回も、ひきつづきポイントの不思議を探っていきましょう。